SNS採用はいま、多くの企業で実施されていますが、うまく活用しきれていないケースが後を絶ちません。企業がSNSを採用に使いこなすためにはポイントを押さえる必要があります。今回は、企業がSNSを採用に使いこなすための5つのポイントをご紹介します。
採用活動を実施した後「採用した人材がまったくの期待外れだった」「入社前にイメージした人物像と実際の姿が違った」といった経験はないでしょうか。採用時と入社後のギャップは仕方のないことであり、採用プロセスをいくら改善したところで精度には限界があると諦めてしまっている企業もあります。むしろ入社後の採用者の変化度合いに期待し、もしだめなら異動させればよいし、自ら転職することもあるだろうという考え方です。
しかし実際には、採用プロセスの精度を飛躍的に高める方法はあるのです。それは、LinkedInやFacebookなどのSNSを活用する採用方法です。
しかしSNSを活用したダイレクトリクルート手法は、多大な労力がかかる割に成功確率が低いともいわれています。確かに日本企業がSNSを活用して成果を上げるためには、日本企業なりのコツがありますが、それさえクリアすれば大きな成果を上げることができるのです。
FacebookやLinkedInなどのSNSを使用する採用方法で成功するためには、次の5つのポイントが重要になります。
営業社員を採用したいなら、自社の営業社員のトップ・タレントを、SE社員を採用したいなら、自社のSE社員のトップ・タレントをSNSに登録させることです。なぜ人事部長ではいけないのでしょうか。それは、自社のトップ・タレントが候補者にコンタクトするのが最も効果が高いためです。人事部長からコンタクトした場合と比べて、募集部門のトップ・タレントがコンタクトした場合のほうが、候補者からの返答率が高いことがわかっています。募集部門の社員からのコンタクトのほうが、身構える度合いは小さいためと考えられます。また、候補者が自社のSNS上における登録者のリストを見に来たときに、いかに魅力的な社員が登録しているかも重要であるため、トップ・タレントが登録する意味はここにもあります。
2つ目は、採用候補者が社員を紹介すると一定の報奨金を出すなどの「社員紹介制度」を作ることです。これにより、営業社員の候補者やSE社員の候補者などあらゆる部門の候補者プールを形成することができます。候補者プールの存在は、トップ・タレントがアプローチする採用プロセスを進めるためには必要不可欠です。
3つ目は、SNS登録者を募集ポジションに照らした上で「重要度」「貢献度」「緊急度」の軸で判定して絞り込むことです。これを「分解スキル・適合評価」と称します。
これらの3つの軸を、それぞれ「大」「中」「小」の3段階で評価します。例えば、その候補者を採用しなければ、募集部門はビジネス目標を達成し得ないのであれば、重要度は「大」になります。
SNSに登録されている候補者のレジュメからスキルを分解すれば、募集ポジションの個々の要件とのマッチングをはかりやすくなるため、ある程度の適合評価を実現できます。特にLinkedInのレジュメは登録者自身が作成したものであることから、精度が高いといえます。
ファーストコンタクトのメール、そして最初の面談においても、日本人の採用候補者に対しては“採用したい”という色を出さないことが重要です。そのほうが、返答率と採用率が格段に上がるためです。たとえLinkedInなどのビジネスに特化したSNSであっても、必ずしも現時点で全員が転職活動をしているとは限りません。そのような相手に、“採用したい”色を強く出し、拒否反応を起こさせる必要はありません。
例えば、ファーストコンタクトのメールでは、「同じ営業として、情報交換させてください」「業界の垣根を超えて、よろしければ交流させていただきたい」などにするのがいいでしょう。
ポイント4でも述べた通り、自社のアピールや採用ポジションの魅力を一方的に語るのは避けます。その代わり、登録者の状況を聞くことに徹します。LinkedInなどのビジネス特化型SNSに登録しているということは、少なからず何かのタイミングで転職をすることを検討していると考えられます。このことから、採用を顕在化していくのは相手のタイミングに合わせることが大切です。
面談においても「どのように取り組まれていますか」「すばらしく取り組まれていることは何ですか」「気にかかっていることは何ですか」「どのように克服されているのですか」「私などで役に立てそうなことはありますか」という5つの質問を繰り返すだけに徹することで効果が期待できます。
SNSは、単にその仕組みを使えばオートマティックに採用の効果がもたらされるものではありません。理想の人財が採用できるかどうかは、使う側がいかにそのSNSの仕組みに合った使い方と行動をするかどうかにかかっているのです。