インターネットの普及により、顧客の購買行動が変化し、営業戦略は大きく変革を求められています。そしてその営業戦略の下に動く営業スタッフたちが、直接的に売上を左右します。このことから重要といえるのは、デジタル時代に適合し、現場で動く優秀な営業スタッフをいかに獲得するかです。今回は、一流の営業スタッフを採用するための4つのステップと参考事例をご紹介します。
どれだけ一流の営業研修・マネジメント、育成を行っても、二流の営業チームでは大きな成果は生み出すことはできません。一方、一流の営業スタッフがそろっていれば、どのような状況でも成功する方法を見つけられます。
しかし、多くの企業において採用戦略が優先されることはほとんどありません。営業スタッフの面接を目の前にしても、多少の準備程度で本番に臨んでいるものです。しかしデジタル時代の激しい競争に打ち勝つためには、業界トップクラスの営業スタッフを採用できるかどうかにかかっています。つまり、採用戦略に投資することは営業活動成果を左右するほどの大きな価値があるのです。
では、デジタル時代に則した優秀な営業スタッフを採用するにはどうすればいいのでしょうか。
優秀な営業スタッフを採用するための方式は、当然、企業によって異なります。しかしその方式を設計するプロセスはどの企業も同じです。
次の4つのステップを踏むことが重要になります。
売上に相関の高い「理想的な営業スタッフ」の特性をピックアップして明確化します。例えば、ある企業では売上と相関関係の高い特徴を統計分析した結果、「知性」や「積極性」が特性として浮かび上がってきました。そしてこれらの内容をそれぞれ明確にし、理想的な営業スタッフの特性を見極めます。
理想的な営業スタッフの特性がつかめたら、次はその項目を使い、採用する候補者を評価する方法を決めます。それらの項目にかかわる行動パターンにはどのようなものがあるのかを知るために、どんな評価方法をとればいいのかを決めます。例えば、適した質問を考案する、候補者に営業のロールプレイをしてもらう、候補者に事前に課題を与える、経歴を照会するなどの方法があります。
ステップ1で特性に基づいて作られた評価項目を元に、ステップ2で決めた評価方法を用いて採点します。
評価を行ったら、結果的に採用した人物は理想的な営業を実践できたのか、売上につながる成果を出すことができたのかを振り返り、PDCAを回して採用方法のモデルを確立していきます。
ここで、この4ステップを利用して採用方式を設計したコンサルティング営業における弊社の事例をご紹介します。
弊社では、コンサルティング営業を担う人財を採用するに当たり、まず特性を明確化する際、次の2つの分野で特性を項目分けしています。
これらの2つの分野に渡って、100項目以上に細分化された評価項目について、採用した人財に対して3ヶ月に1回の頻度で360度評価を実施し、フィードバックを行っています。
実際、その蓄積された評価データから、「極めて活躍する、年間契約額が高いコンサルタントの上位20%の特徴」としては、マインド評価の「前向き思考で考える」や「相手に感情移入する」の相関係数が多く、次いで、コンピテンシー評価の「将来を見越したコンサルティング提案」や「プロジェクトの実行推進」などが高くなっていました。こうしたデータから、弊社では高いマインドレベルの人財がより活躍する傾向にあることが分かりました。
こうして得られた分析データを、採用に活用しています。活躍度と高い相関の見られた上位10項目に入っていたマインド項目6つを重要項目として採用基準に取り入れています。
デジタル時代に適合した優秀な営業スタッフを採用するためには、4つのステップで採用方式を設計することが重要です。売上と相関の高い特性を項目立て、それを基準に採用活動を実施することで、自社にとって優秀な営業スタッフを獲得することができます。