デジタル時代においては、顧客は自らインターネット等で解決策を調査し、ピックアップした候補の中から比較選定する形で商品・サービスの購買活動を行います。顧客の購買行動の変化に対応すべく、マーケティング部門は顧客から“見つけてもらう”インバウンドマーケティングに切り替える必要が出てきています。見込客開拓の方法が変化すれば、それに伴い、営業部門も戦術を変化させる必要が出てきています。今回は、営業部門の新戦術であるインサイドセールスの立ち上げについて解説します。
マーケティング部門がインバウンドマーケティングに切り替えるのと合わせ、営業部門はインバウンドリードに対応するための戦術を進化させる必要があります。古典的な営業戦術はインバウンドリードには通用しません。
例えば、従来の型にはまったセールストークは適していません。そもそも知っておきたいのは、インバウンドマーケティングで獲得されたリードは、もともと悩みを持っているという点です。悩みを解決したいと思っているリードに対し、従来型の商品メリットや機能を訴求するマニュアル通りのセールストークを行ってもかみ合わないのは明らかです。
インバウンドリードに対しては、リードの課題を理解し、解決の手助けをするような営業活動が求められるのです。つまり、顧客の背景・状況を重視した新たな営業活動が必要になるというわけです。
それを実現するのがインサイドセールスになります。
リードのリストを手に入れたら、多くの場合、営業は五十音順やアルファベット順にリストの上からアプローチしていくでしょう。しかしそれは効率的ではありません。
では、リード開拓の優先順位は、どのように決めればいいのでしょうか。
例えば、次の2つのリードに対して、どちらを先に営業へ電話をかけさせるべきか考えてみてください。
誰もが1のリードを選び、それも急いで電話をしなければならないと感じるでしょう。
つまり優先順位は、リードの反応や行動である「エンゲージメント」の程度によって決めるべきといえるのです。
エンゲージメントには、例えば、リードが「自社のWebサイトを訪問した」「メールマガジンを開封した」「資料をダウンロードした」「ソーシャルメディアで自社にビジネスに関連するキーワードを使った、もしくは自社や競合他社について言及した」「Twitterで自社の幹部のアカウントをフォローした」などがあります。
インバウンドリードに対してはすでに従来の営業戦術は適用できなくなっています。インバウンドリードを売上につなげていくためには、一連の新しいスキルが必要になってきます。従来型の強引で押しの強いセールストークではなく、リードの状況に即して柔軟にリードの購買活動をサポートしていくのがデジタル時代に求められる営業スキルなのです。
そのため、従来の営業チームとは別に「インサイドセールスチーム」を立ち上げるのが効果的です。
インバウンドリードへの対応は新しいインサイドセールスチームが担い、アウトバウンドリードに対しては、従来のアウトバウンドチームが担うといったように、それぞれが専門的にリードの段階に適した営業活動を行っていくとよいでしょう。
インバウンドマーケティングから獲得されたリードに対して従来の営業戦術を当てはめてしまうと、的外れになるばかりか、リードを失うことにもなりかねません。インサイドセールスチームを導入し、専門的にエンゲージメントの高いリードに優先的に対応していくことで、商談につなげることが可能になります。