世間では、トップセールスを営業マネージャーにしてはいけないといわれています。では、外部から採用するのが有効なのでしょうか。営業マネージャーの選定方法や、デジタル時代において営業マネージャーに必要とされるスキルなどをご紹介します。
営業管理職の間では、「トップセールスをマネージャーに昇格させてはいけない」というのは常識です。なぜなら、営業職で成功しているトップセールスをマネジメント職に移しても、同じように成功する見込みは他の職種と比べて低いと考えられているためです。一般に、トップセールスの人物は競争心が強く、ワンマンなところがあるともいわれます。少しイメージしてみれば分かる通り、そうした人物はマネジメント職には不向きです。
もちろん、営業成績が悪いスタッフをマネージャーにすればよいということではありません。残された道は、外部から採用することです。しかし、それもむずかしいのが現状です。なぜなら、自社の営業マネジメントモデルを実現できるマネージャーはそう簡単には見つからないはずだからです。
このことから、営業マネージャーは内部で育成していくのが最も確実といえます。なぜなら、彼らは自社にとっての理想的な顧客像を把握しており、商品やサービスを提案する方法にも通じているためです。また、組織的な営業の仕組みも理解しているため、人員をアサインする側としてはスムーズです。
では、営業スタッフを内部昇格させ、営業マネージャーとして育成するためのポイントはどこにあるのでしょうか。日進月歩で変わるいまの臨機応変な対応の求められるデジタル時代も考慮に入れると、営業マネージャーに求められるのは次のスキルです。
「ネガティブなフィードバックの伝達力」とは、ただ単に営業スタッフの営業プロセスに対して悪いところを指摘するだけでなく、どの指標が欠けていたのかなどを合わせて他の営業スタッフに示すなどして、より効果的にフィードバックを与えることを指します。
「チームの動機付けスキル」とは、チーム全体がいかに団結して目標に向かって取り組んでいけるか、そのモチベーションの動機付けができるかどうかのスキルを意味します。例えば、今期は目標を達成できなかったとすれば、チームへ団結心を高めるために声をかけたり、必要なロールプレイを提案したりと、優れた動機付けを行えるかどうかということです。
「コンフリクトマネジメント力」とは、上司と部下、同僚同士の対立をうまく対処する能力のことです。
これらを見ると、マネジメントスキルだけではなく、リーダーシップスキルも求められることが分かります。
このことから、できるだけ優秀な営業マネージャー候補を社内で見つけるには、リーダーシップの素質のある人物を選ぶことが有効です。
リーダーシップの素質は、実際に営業マネージャーとして稼働せずとも見極めることができます。例えば、会議での質問や発言においてリーダーシップを発揮する営業スタッフがいるかもしれません。また、積極的に新人営業スタッフの相談に乗っている、研修講師としての役割を担っているといったことも一つの判断基準です。またリーダーシップスキルは、営業スタッフのチームへの貢献度からも計ることができます。
営業マネージャーを立てる場合、最善の方法は外部からの採用ではなく、内部昇格させることにあります。そして営業マネージャーに必要なスキルとしては、マネジメント力のほかリーダーシップも求められることから、リーダーシップの素質を持った営業スタッフを探し、マネージャー候補として育成していくのが効率の良い方法といえます。